多以良川源流探索隊
隊員 組長、若頭、バット、老犬、仁


我々は多以良川の源流を見据えるべく登山に向かった。
まずは川に降りなければいけない。
しかしこの川は深い谷の下にあるため降り口が見つからない。
目星をつけて三田君先頭で進む。
分速5mでやぶを進んでいるときに俺の目に不自然な黒い物体が入ってきた。
仁君の真横のやぶに蛇を発見した。大きかったのでアオダイショウであろう。
おびえる仁君に飴ちゃんを与え何とかなだめすかし先へと進む。
今度は、人の声が聞こえてきた。
なんとそこには裸の親父が立っていた。
ついに長崎の山奥で原住民発見か?一行は騒然となった。
おやじ「まむしがいるぞ」
我々「・・・・・・」
おやじ「まむしがいるぞ。気をつけろ」
言語をしゃべることができる、しかも日本語・・・・・
ひょとして原住民ではなく近所の親父では?皆がそう思い始めた。
でもおかしいだろ。よく考えろ。
親父は裸だ!
我々はそこにたどり着くまでにどれだけの時間を費やしたか?
しかもその経路はやぶでありイバラが沢山あり、長袖、軍手でも痛かった。
でも親父は裸だ!
ふと思い出した。何かに似ている。そうアジアだ。
アジア諸国では客引きがかもになりやすい日本人を見分ける際に日本語で話しかける。
異国で日本語を聞いた日本人はつい振り返ってしまう。現地人は振り返りもしない。
これと同じだ。おやじ、いや原住民のねらいは・・・・
こんな時は逃げるに限る。今、逃げなければ食われる。
我々は一目散にその場を立ち去った。
しばらくするとやぶをかき分けて進んでいた三田君が視界から消えた。
一瞬である。
なにが起こったのかは川口浩でもわからない。
これがTVであればCMに入る絶好にタイミングである。
そんなことはさておき、三田君は崖から転落したのだ。
三メートルもないほどの崖なので命に別状はない。
三田君は自分が消えたことが周りに衝撃を与えたことを知りテンションが上がった。
顔を見るとおいしい所もらったという顔をしている。
三田君が転落したところは沢になっていた。
その沢を越えないと先には進めない。
三田君に沢側から降りるルートを探索してもらった。
なんと数メートル先に沢を渡る橋を発見した。
幅三メートル、沢までの高さ3mばかりあるこの橋は丸太でできていた。
しかもその丸太は三本しかなく手すり代わりにロープが一本張ってあるだけである。
さらにこの橋には致命的な欠陥があった。
橋を構成する丸太は柴田さんの前頭部のように朽ち果てていた。
三田君に重要な任務が下った。彼は人柱として橋桁になったのである。
皆のために・・・・・すばらしい男である。
しかし橋桁を命ぜられた三田はまたおいしい所もらったという顔をしていた。

ちなみにこんな感じである。
全員が無事渡り終えた後三田を引きずり上げ先に進んだ。
二分ほどで多以良川に出た。

きれいな水の流れである。遡行を始めた。
川に道なんてものはなく険しいものであった。
10分ほどで登山道に出くわした。
我々は登山道に興味を引かれ上っていくことに。
登山道は中途半端に終わり、さらに中途半端に上ると、中途半端な頂上に出た。
そこで中途半端な昼飯を食べた。

おわり