四万十遠征

その@


実行部隊はすでに動いていた・・・・・


8月某日。私は一路、香川へと車を走らせていた。
同乗者は二名。
同じく東の方にに実家のある、まささんと田中B。
みんなで帰ればやすいという名目でこの二人は乗車していた。
大村PAに立ち寄り、再び車を走らせようとした。
ワイパーに一枚のMDが挟んであった。
車を進めながらカーコンポで再生した。

ミッションインポッシブルのテーマが車内に鳴り響いた。
しばらくするとテーマは音量が下がり男の声が聞こえた。
男の声はボイスチェンジャーで加工されていた。

諸君、今回の任務を伝える。
岡山少年母親バット殺害事件の犯人の少年が先頃逮捕された。
しかしこの少年は偽物であることが判明した。
少年は甲子園で毒入りうどんをばらまくため
香川に潜入、修行している模様。
至急、現地に向かい逮捕したまえ。
作戦名は「うどんもバットも太いのがお・好・き」
諸君の無事を祈る
なお、このテープは自動的に消滅する。

男の低い声は指令を伝えると消えていった。
そして数秒の空白の後
組長、おしり、仁の三大テノールによる「ドナドナ」が始まった。
アカペラだ

あーる晴れたひーるさがり
かがわーへつづーく道
にーばしゃあがごとごとふたりーをのせーていく
かわいそーな二人ー
揺られてゆくよー
さみーしそーなひーとーみーでーみーてーいーるーよー
まさまさまーさまーさ
二人をのーせーてー
みよみよみーよみーよ
荷馬車はゆれーる

さぶい

静かな笑いの二人まさかこれが物語の始まりとは気づかなかったようだ



車はひたすら東に向かった。
二人をおろす岡山ICが近づいてきたときだった。
車が故障したのだ。
組長「おいっ!きっど!」
きっど「・・・・・」
組長「きっど!どうした?まささんコントロールがききません」
まさ「なにいってんだ?」
組長「おいぃぃぃぃっぃぃきっどどどど」


きっどはなんと行き先を変え瀬戸中央自動車道(瀬戸大橋)にむかっていってしまった。
ハンドルが利かないのであるから不可抗力である。
まささんは事態を把握しきれていなかった。


実行部隊はそのころ神戸にいた。