経ヶ岳登山



暇だ。

とっても。


暇すぎる。





私はその時、病床にあった。
盲腸で入院していた。

次々に来る見舞客、
呼んでおきながらだるかった。


退院が決まった日、味田と吉田が現れた。
退院したら登山に行くことになった。
こうして、登山は決まった。



退院の日、朝飯を食い看護婦に聞く。
「もう帰っていいんですよね?」
どうぞ。

急いで、原付に乗り家に帰る。
洗濯物を洗濯機に放り込む。
金をおろしに行く

家に戻るとそこには
味田、吉田、平野の姿が

仕度をし、車を走らせる。

経ヶ岳の麓に着き。
いよいよ登山開始。


やはり体力が回復していないのだろうか?
皆についていけない。やがて登山道はがればになった。
足下の石が動くうえ急坂

きつくて他の人間と間隔が広がる。
しかし待ってくれない。

何だこいつら。俺は病み上がりもほやほやだぞ。

心の中でわき上がる怒りお押さえがんばる。

吉田が蹴った石が急坂を加速しながら転がってくる。
転がって来るというか落ちてくる。
よけるまもなくすねに直撃

殺す


叫ぶ元気もなく子猫のようにそっとつぶやく
しかしその目は怒りに燃えていた


屈辱に燃えながらも登るのが精一杯
えっちらおっちら登った

やっとこさ着いた山頂は景色が最高

だけど何でこんなにハエが飛んでんだ?
景色を堪能後別ルートを下る

帰りはなかなか楽しいルートであったが
また置いていきやがる
しかも今度は尋常じゃないほど先に進んでいる
いつまでたっても待っていてくれる様子もない

どうやら先頭は味田のよう覚えとけよ

キャンプの登山の下見で来たのにおいていく平野お前もゆるさん



野活にとってはかなりハードな道だろう
下山した頃には平野は死にかけていた

その後温泉に入って帰った
十日ぶりの風呂は大変気持ちよかったが
ちんげが無いのが恥ずかしかった。